学生の1冊『芸術闘争論』

2020.8.4(火)

推薦の言葉(美術学科 川村正寿)

芸術闘争論

芸術闘争論

2019年度 貸出冊数 上位の学生からのご紹介です。


まず私がこの本を読むきっかけとなったのは、大学でコンテンポラリーアートという授業を取ってから、現代美術に興味を持ったのが最初です。その後も現代美術と関わる機会が増えて何を現代美術というのか、誰のことをアーティストと呼ぶのか、より現代美術への興味が湧き、読み始めた本です。
本書は、現代美術日本代表として世界で活躍している村上隆が《芸術起業論》に続いて書いた本です。2作目の本書では世界に出てこないアーティストに対して、現在の日本芸術業界に対して、自身の活動の無理解に対して論じる戦いの本です。現代美術の最先端をいく作品や自作品の鑑賞の仕方、村上隆流の作品の作り方が詳しく書かれていて、この本で世界規模で活躍するアーティストを輩出してやるという村上隆の熱を感じました。読んですぐに自分の考えていた美術、自分がいる美術の世界と違いすぎてショックを受けました。美術は自由などではなくルールやメソッドがあり、その中でどうやっていくかというゲームのようなものに感じました。学生と教授という関係性がある美術大学の中で、視野を狭くしないためにもお勧めしたい一冊です。

書名:芸術闘争論
著者:村上隆(むらかみ・たかし)
出版社:幻冬舎
出版年:2018年

本はここにあります