教員の1冊『バイオスフィア実験生活―史上最大の人工閉鎖生態系での2年間』

2020.1.7(火)

推薦の言葉(地域社会学科 講師 太田稔)

バイオスフィア実験生活―史上最大の人工閉鎖生態系での2年間

バイオスフィア実験生活―史上最大の人工閉鎖生態系での2年間

本学教員からのご紹介です。

「自然環境の悪化により地球で生活ができなくなることを想定して火星移住に向けた実験をしよう」。そんなことを考えた科学者達は1991年、アリゾナの砂漠に完全密閉空間の「バイオスフィア2(第二の地球)」を最新科学で建築した。札幌大谷大学の敷地と同じくらいの「バイオスフィア2」では、空気を外部から取り入れずとも植物の光合成により酸素を循環させるシステムを持っていた。各部屋には熱帯雨林や海、湿地帯やサバンナなどの自然環境を世界各地から持ち込んだ動植物で再現し、食べ物も家畜や野菜、果物などを再生産できるように数百種類を選別して移入し準備万端なはずであった。しかし、植物の育成が悪く慢性の飢餓状態に陥り、予想外の害虫の発生や酸素濃度の低下、CO2濃度上昇、内部の実験者同士の人間関係の悪化など様々な問題が起こり実験期間の2年間を待たずに実験中止となった。「人類はそこから何を学ぶのか」。太田の価値観が変わった一冊です。


書名:バイオスフィア実験生活―史上最大の人工閉鎖生態系での2年間
著者:アビゲイル・アリング 、マーク・ネルソン 
出版社:講談社
出版年:1996年

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