職員の1冊『壁の本』
2019.4.15(月)
推薦の言葉(事務局 大山莉奈)
学務課 教務補佐員(美術学科)からのご紹介です。
「壁の本」というとてもダイレクトなタイトルの通り、この本は、まちなかのさまざまな壁を記録した写真集です。
重力や気候などの環境的要因によるヒビ、錆び、剥がれ、そして時折加わる生き物の気配など、数々の偶然を重ねて作られたそれらは、まるで絵画作品のようで、終始感嘆を漏らしながら頁を進めたことをよく覚えています。この本と出会ってから、散歩をするのが楽しくなりました。今までと少し違う目線によって、見慣れた街並みが名画へと変わります。また、知らない場所へ行くときには必ずカメラを携え、その土地の雰囲気と共に、壁や地面にも注意深く目を向け観察するようになりました。
本の後半には「壁コラム」や「壁鑑賞の手順」、「壁素材解説」も収録されており、著者・杉浦貴美子さんの、壁へ対する敬意や愛着が強く感じられます。
なにを面白いと捉え、向き合い、それをどのように切り取っていくか。私自身のものの見方や考え方を大きく変えてくれた1冊です。
書名:壁の本
著者:杉浦貴美子(すぎうら・きみこ)
出版社:洋泉社
出版年:2009年
・本はここにあります