教員の1冊『死者の奢り・飼育』

2018.6.18(月)

推薦の言葉(芸術学部 学部長・美術学科 学科長 今義典)

死者の奢り・飼育

死者の奢り・飼育

本学教員からのご紹介です。

大江健三郎著「人間の羊」、新潮文庫「死者の奢り・飼育」に収録の短編小説

 大江健三郎の短編『人間の羊』を推薦します。この作品は気が滅入るほどの「おせっかい」な人が登場し、被害を受けた者と被害を受けなかった者との反目が繰り広げられます。60年前の作品ですが、現代の20代の方が手にしても全く違和感なく入っていけると思います。

  美術の学生は映像化しながら、音楽の学生はBGMを想定しながら読み進めることができるでしょうし、社会学を学ぶ上で当時の人々の考えかたや世相、または日本人のメンタリティーとは何かを知ることもできます。

 発達心理学として主人公の側面を見ても面白いはず。読後はかなり異様な感覚に陥りますが…。この作家の暗喩表現は故人・存命問わず右に出る者はいないと思います。「ひょっとして笑わせているのか?」と思える節が随所にあり、よく声にならない笑いをかみ殺したものです。

 
 
書名 :新潮文庫
    死者の奢り・飼育
著者 :大江健三郎(おおえ・けんざぶろう)
出版社:新潮社
出版年:1959年

・本はここにあります