教員の1冊『ソロモンの偽証』

2018.5.21(月)

推薦の言葉(図書館長・地域社会学科 教授 梶井祥子)

ソロモンの偽証

ソロモンの偽証

本学教員からのご紹介です。

宮部みゆき著「ソロモンの偽証」、新潮文庫全6巻
 
   宮部みゆきは推理小説、時代小説、少年ファンタジーなど、幅広い領域で創作活動をしている作家です。どの作品にも、社会のなかで弱い立場に立たされている人々への温かなまなざしが貫かれていて、この作家への信頼につながっています。ひとりの人間が持っている多面性を描き切ることで、善悪を越えた可能性や優しさを伝えていると感じます。「ソロモンの偽証」は自殺した中学生を巡るミステリーですが、謎を解決するために自ら立ち上がる中学生たちの姿が鮮烈で、勇気を与えられる1冊だと思います。
   私はこの本を京都のホテルで読み耽りました。なぜ、京都のホテルだったのか。その時、大学生の長男が突然の病で倒れ、京大病院に入院していたからです。どうすることもできない状況のなかで、小説の世界に引き込まれることで現実から距離を置き、それによって癒され、力を得ました。振り返れば、困難を乗り越えるために、何度も「本」に救われてきたのです。
 
 
書名 :新潮文庫
    ソロモンの偽証
著者 :宮部みゆき(みやべ・みゆき)
出版社:新潮社
出版年:2014年

・本はここにあります

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